PASSING
本展示では、現実空間に設置した写真にデジタル映像を投影する独自の技法を用いて、静止した時間と動的な時間が交錯する新しい視覚的実験を試みています。
作品制作の過程では、まず写真を印刷し、その写真に完全にマッチする映像をプロジェクターから投影します。印刷した写真は、投影される映像のフレームをスクリーンショットしたものであり、映像と写真が完全に一致することで静止した状態の写真と動く映像が同時に共存する特異な空間が生まれます。
写真は特定の瞬間を永遠に凝縮し、その瞬間を映像化することで、時間の流れやその不可逆性を視覚化します。固定された写真が過去を象徴し、映像が動的な現在や未来を反映することで、鑑賞者に時間の経過や時間の不可逆性を深く考える機会を提供します。
また、本展示では過去と現在の時間軸が交差することで生まれる新しい物語や意味を視覚的に表現します。写真と映像が交錯する光景からは、「記憶の構造」や「記憶の再現」についての新たな洞察を得ることができるでしょう。時には曖昧であり、時には鮮明な記憶の断片がどのように想起され、再構築されるのかを体験してください。
最後に、写真が占める空間に映像が新たな次元を加えることで、「現実」と「非現実」、「過去」と「未来」「物質」と「デジタル」の境界を超えた体験を鑑賞者に提供します。この展示を通じて、私の作品が持つ深い意味と視覚的なインパクトをお楽しみいただければ幸いです。
協賛: Nextorage
企画支援: OPEN MUSEUM
Artworks
Artist
yoh
2001年生まれ東京都出身、武蔵野美術大学空間演出デザイン学科環境計画コース卒業(2024年) 私は「あるのにない、ないのにある」というテーマを掲げ、プロジェクターを用いて「幻影」を投影するインスタレーション作品を制作しています。このテーマは、物理的に存在するものと感覚的な認識の相違を探求し、観客に新たな視覚的体験を提供することを目的としています。私の作品は、現実と非現実の境界を探る試みであり、インスタレーションを通じて現実と非現実の境界を模索します。