NEW TRUTH / 新・真実

この度、NEORT++はケヴィン・アボッシュとリヒャルト・プロイガーによる展覧会「NEW TRUTH」を開催いたします。
ステートメント
写真は、これまで一度でも真実の記録であっただろうか。世界そのものではないのに、世界のように見える。私たちは、その似姿を証拠と取り違える。
《NEW TRUTH》は、イメージと現実(リアル)のあいだ、まさにそこに開く裂け目から始まる。
作品は、合成された映像から抜き出された静止画だ。それらを生成したモデルは、作家自身が撮影したロサンゼルスとベルリンの写真を、学習データの一部としている。だからそこに立ち現れるものは、かつてこの二つの都市を実際に記録したアーカイブから幻視(ハルシネート)されたものだ。見おぼえがあるのに、どこにも見あたらない、混成的な場所。一度も起こらなかった、本物の真実。
どれも、たった一つの手が選んだものではない。アボッシュとプロイガーは、たがいの手もとを見ることなく、相手が何を選んでいるかを知らないまま、それぞれに作業した。そして、二人がそれぞれにたどり着いた画像、ひとことも交わさぬまま一致した画像だけが、残された。ここにあるものは、世界に照らして確かめられてはいない。もう一人の人間に照らして確かめられたのだ。対応ではなく、収束による真実。
画像は、Hi8のやわらかく低解像度の粒子をまとう。Hi8とは、カムコーダーが「真実」の記録を初めて市井の人々の手にゆだねた時代の規格である。いま、高精細(ハイディフィニション)はあらゆるものを美しく見せ、そこで生み出される最も説得力のある映像は、たいてい最も合成的なものだ。この粗い表面は、その逆をおこなう。それが作られたものであることを、見る者に示すのだ。
《NEW TRUTH》は、真実と価値を、イメージのうちに見出されるものではなく、イメージに与えられるものとして扱う。作家たちは、一致することで、それを一度与えた。作品の前に立つ者は、それをもう一度与える。合成された記憶で満ちてゆく文化のなかで、この展覧会が求めるのは、注意を向けること、そして、少しの遅さだ。自分が何を信じる用意があるのかを、自分の手で決めるための、わずかな遅さ。
Artists

Kevin Abosch
ケヴィン・アボッシュ(1969年、ロサンゼルス生まれ)は、写真・映像・インスタレーション、そして機械学習を用いたイメージ制作を横断して活動するアイルランドのコンセプチュアル・アーティストである。その作品は、アイデンティティ、価値、そしてイメージの本質をめぐって、つねに文化的な合意に先んじて現れてきた。AIを用いたイメージ制作の最初期のパイオニアの一人として、アボッシュは1992年以来、機械学習とコンピュータ・ヴィジョンに取り組んできた。その実践がもつ文化的な機運は、ごく最近になってようやく彼に追いついたのである。現在はパリに拠点を置き、ウィーン応用芸術大学の講師を務めている。

Richard Pleuger
リヒャルト・プロイガー(1960年、ドイツ・デュイスブルク生まれ)は、ドローイング、絵画、写真を手がける、ミュンヘン在住のアーティストである。デュッセルドルフ芸術アカデミーでナムジュン・パイクに映像・ビデオアートを師事し、イメージの生成やレンズを介した実践への取り組みにおいて、パイクからの影響がその礎(いしずえ)となった。近年の写真作品では、iPhoneのパノラマ機能を逆手に取り、従来のフレーミングに抗うイメージを生み出している
Events
- upcoming2026.7.24 09:00 _ 2026.7.24 12:00
"NEW TRUTH" オープニングレセプション
「NEW TRUTH」のオープニングレセプションを開催します。 予約不要でどなたでもお越しいただけます。 東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 maruka 3FOn Site