LOCAL NETWORK — Community beyond the place

この度、NEORT++はCrypto Villageによる展覧会「LOCAL NETWORK — Community beyond the place」を開催いたします。
概要
日本の多くの地方が、静かな臨界点を迎えている。
人口の減少、高齢化、そして地域固有の営みの喪失——こうした変化の中で、地域共同体はその輪郭を保つことが難しくなりつつある。しかしこの課題への態度として、共同体の「消滅」を嘆くのではなく、共同体という概念そのものの問い直しをしたい。「場所に住むこと」だけが、そこへの帰属を定義するのか。
新潟県の山古志は、2004年の中越地震によって全村避難を強いられた。かつて約2,200人が暮らしたこの地区の現在の居住人口は700人を下回る。長野県天龍峡は、観光ブームの恩恵を受けつつも、その波に翻弄され持続可能な観光地のあり方を模索している。宮崎県椎葉村は、九州山地の深奥に位置する日本有数の秘境として知られ、長年受け継がれてきた椎葉神楽は、担い手の減少という現実に直面している。
これら三つの地域に共通するのは、場所としての「希薄化」という危機ではなく、むしろ場所が持つ固有の深度——歴史、記憶、儀礼、風土——の豊かさである。危機は、その豊かさを次世代へと接続する回路の断絶にある。
「デジタル村民」という概念は、この断絶に対するひとつの応答として生まれた。それは移住でも観光でもなく、意志と関心によってその地域との関係を結ぶという、帰属の新しい形式である。居住という身体的条件を外すことで、コミュニティへの参加はより多くの人に開かれる。同時に、NFTはその関係の器となる。所有の記録としてではなく、関与の意志を収める場として。
椎葉神楽NFTは、この文脈において単なるデジタルアーカイブではない。それは、神楽という場所に根ざした無形の文化を、物理的距離を超えた関係性の網の目に乗せる試みであり、山古志・天龍峡のデジタル村民プロジェクトと本質的に同じ問いを共有している。すなわち——「共同体は、場所を超えてどこまで存在しうるか」。
本展「LOCAL NETWORK」は、この問いをめぐる実践の記録であり、同時に進行中の問いそのものである。場所から離れることで、逆説的に場所へと深く接続するこれらのプロジェクトは、地方の危機に対する応急処置ではなく、これからの共同体の設計原理の一部を提示している。
企画:Crypto Village
アーティスト:堀 宏行
協力:Nishikigoi NFT, ねやねや天龍峡デジタル住民部, Shiiba Kagura NFT, Okazz, yxkotkx, raf
Artists

堀 宏行 | Hiroyuki Hori
開発者/アーティスト 10代後半から多様な音楽に興味をもち、その延長でMaxMSPというソフトウェアの存在を知る。26歳で「そういうことを教えてくれそうな学校(IAMAS)」に脱サラをして入学。コンピュータを、ピアノなどの物理楽器のシミュレーターとして使うのではなく、それ自体がもつ特性を素材だと考えた場合、それはどういう音を作ることはどういうことかを真剣に考える。卒業後は、その時に培ったリアルタイムに反応するアプリケーションの開発技術で職をえる。 2017年に汎株式会社を設立。

Crypto Village
Crypto Villageは「Empower The Locals」を掲げ、テクノロジーと地域を結び、多様なコミュニティと文化を支えるチームです。私たちが生きるために欠かせない水や空気、素材といった地域資源、祭りや暮らしに根付く文化、そして顔の見える関係性や信頼を未来へと繋げていくため、ブロックチェーン技術を活用した新たな共同体づくりに挑戦しています。